京都府は歴史的建造物が多く、桓武天皇の遷都以降は明治維新まで天皇がお住まいの地域でもありました。2022年に京都市観光協会が発表したデータ月報によれば、コロナ禍によって激減していた京都市内の客室稼働率が上昇しており、コロナ禍以前の賑わいが徐々に戻りつつあります。かつての都を象徴する歴史的建造物に魅了され、毎年多くの観光客が訪れる人気スポットが点在する京都では『生八つ橋』や『京ばあむ』といった定番菓子のほか、「京の伝統野菜」と呼ばれるブランド産品を売り出していることでも有名です。
京の伝統野菜「九条ネギ」について
京の伝統野菜として栽培される農産物のなかには「九条ネギ」と呼ばれるネギがあります。九条ネギは甘味の強さと口当たりのよさが特徴的な品種で、平安時代には既に京都・九条付近で栽培されていました。一般的なネギと比べて色の濃い太ネギ(黒種)と、株分かれしやすく細いネギ(浅黄色種)の二種類が育てられており、京都府内では九条ネギを入れた京料理を味わうことができます。ビタミンが豊富に含まれた九条ネギは「葉ネギの王様」としても有名です。しかし九条ネギは青ネギ(葉ネギ)の一種であって、白ネギではありません。そもそも、京都で栽培される白ネギは住民に人気なのでしょうか? 京都における青ネギ・白ネギの人気を解説します。
京都は白ネギよりも青ネギが人気?
元々、日本では東西によってネギの人気に違いがあります。たとえば関東では白ネギが料理に多く使われるのに対し、関西では青ネギが普及しています。つまり、ネギの葉を使うかどうかは東西で分かれているのです。そのため京都でも青ネギが人気ですが、白ネギが育てられていないというわけではありません。九条ネギがポピュラーな京都だからこそ、新しい取り組みとして白ネギを育てる農家が増えています。京都府亀岡市で白ネギを生産・販売している農園『ソルモンド』をご紹介しましょう。
白ネギを栽培するソルモンド農園の魅力
京都府亀岡市曽我部町で九条ネギと白ネギを生産するソルモンド農園では、土の中の微生物を利用する微生物酵素農法を実施しています。微生物は旨味成分として知られるアミノ酸を作る能力を持っており、ネギの美味しさを最大限引き上げてくれる力があります。ソルモンドは甘味の強さと太さが特徴的な白ネギを一年かけて収穫しています。未だ京都のネギは九条ネギのイメージが強いですが、ソルモンドは白ネギの魅力を周辺地域へ徐々に広げています。この白ネギは葉を美味しく食べることも可能で、京都に住む方にとって非常に受け入れられやすいネギと言えるでしょう。ソルモンドは公式ホームページ上で定期的に白ネギの生育状況を載せているため、興味のある方は栽培の様子を覗いてみてはいかがでしょうか。