ヴァージングループを率いるリチャード・ブランソン氏のこれまでの半生を描いた自叙伝です。
同氏はイギリスで幼少のころから苗木を売ってお金にするなど様々な商売を行い、宇宙産業を手掛けるヴァージン・ギャラクティック社の設立までを描いた同書を紹介します。
リチャード・ブランソンとは?
リチャード・ブランソン(正式にはナイトの称号を持つので、サー・リチャード・ブランソン)は、世界規模の事業展開を行っているイギリスのヴァージングループを率いる実業家です。
ヴァージンレコードを皮切りに、通信会社、食品会社、ひいては航空会社や鉄道会社といった交通インフラの企業を創業してきました。
そんなリチャード・ブランソンは、様々な行動を試み、時に大きく失敗しながらもひたすらトライ&エラーを繰り返して巨大な企業を築いたのです。
既得権益との戦い
リチャード・ブランソンは既存のサービスの欠点などを見抜き、果敢に新規参入という形で様々な業界に挑戦してきました。
コーラや携帯電話の通信会社といった祖業とも言えるレコード販売とは大きく異なる分野にも参入したのです。
その中でも特に象徴的なのが中古のジャンボジェット機を購入して参入した航空業界です。
巨大な資本である英国航空をライバルに、全くの素人とも言えるヴァージングループは挑戦しました。
この既得権益の象徴ともいえる英国航空は様々な圧力をかけてリチャード・ブランソンの航空会社を業界から排除しようとします。
空港の割り当てを不利にさせたり、整備スケジュールの遅延をおこなったりといったことはもちろん価格競争に持ち込んで利益を圧迫するような行為もされました。
それでも、果敢に、しかも広告で英国航空を皮肉るユーモアを持って挑んだ結果、ついに英国の航空会社の有力企業としての地位を獲得したのです。
上場よりも自由を取った
上場企業というのは、どんな分野の実業家も一度は夢を見る目標です。
しかも、伝統あるロンドン証券取引所であればなおさらといえるでしょう。
そんな上場企業に一度はなったものの、リチャードブランソンは自ら株を買い戻し、上場廃止にしました。
理由は自由が奪われること、株主の顔色をうかがいながら経営をすることに嫌気がさしたのです。
リチャードブランソンは豊富な資金の流入という株式上場の魅力よりも自由を取りました。
まとめ
リチャード・ブランソンは、とにかく行動力に優れた人物ということが見て取れます。
レコード店を開業する前は、ヒッピー文化に根差したようにサブカルチャー的な情報紙の編集などを行ったり、学生向けのサービスを提供するなどの学生起業もしています。
また、お金になるからと、越境してレコードを売ろうとして、税関に捕まったことさえある経歴の持ち主です。
決して品行方正とは言えない一面もありますが、行動することの大切さを教えてくれる本としてとても参考になる一冊といえます。